備忘録
2023.10.23
新型コロナウイルス感染と漢方
2023年7月の猛暑が続く中、同居の高齢母(89歳)が低ナトリウム血症とともに新型コロナ感染のため金曜日に救急搬送。入院して少し様子を見た方がよいとのことで短期入院手続きを済ませて帰宅。
翌日土曜日のお昼頃、私自身少し咳が出て咽頭痛、頭痛、全身痛を自覚、検温すると38.9℃。ほぼ同時に妻も同様の症状とともに発熱。二人とも直ちに柴葛解肌湯の方意で常備していた葛根湯(T社)・小柴胡湯(T社)・桔梗石膏(Ko社)を各1包ずつを13時、16時、19時、22時と服用し厚着をして発汗療法を実施、暑さもあって汗はびっしょりかいたものの何故か自覚症状の改善があまり顕著ではない。そのまま就寝。
翌日曜日、検温38.7、咽頭痛、頭痛、全身痛は半減したものの倦怠感が強くなってきた。前日処方を9時、13時、17時、22時と服用。
翌月曜日朝、検温36.7℃で解熱。妻と二人かかりつけの診療所を受診し二人ともPCR検査陽性。めでたく新型コロナに感染が判明。解熱はしたものの倦怠感・集中力低下が著しく、何より咽頭痛が激しくなってきた。問題になっている新型コロナ感染後遺症とは、このような状態が続いていくのだろうと思えた。
さてここで是非とも試したくなった漢方薬は、『山本巌の漢方 症例&144処方臨床解説』19頁に山方勇次先生が書かれている「LongCOVIDの倦怠感」に対する漢方治療である。炎症の遷延化を抑えることが大事だと。
わが家の常備薬を鑑みて温清飲加減方として一貫堂の竜胆瀉肝湯(Ko社)、補気剤は補中益気湯(Ko社)、駆瘀血剤は桂枝茯苓丸(T社)、この3剤合方を私と妻共に早速服用することにした。月曜の昼過ぎ13時に1回目服用、就寝までにあと2回服用。服用して間もなく倦怠感でぼやけていた集中力があたかも霧が晴れるように少し改善したような感覚があり、何より激しかった咽頭痛がみるみる改善し、就寝時にはほぼ消失していた。
翌日火曜日も同処方を3回服用、水曜日には二人とも自覚的には完全に復調していたが、念のため日曜日まで同処方継続して終了した。山本医学を福冨稔明先生から継承された山方勇次先生の的確な病態把握と対処法に感謝。