備忘録
2012.08.03
重度の扁桃周囲膿瘍に対する漢方自験例①
金曜日の日中に歯科医院で歯科治療を受ける。その際に薬液が咽喉部につき痛みを覚える。その日は高温で暑かったこともあり、夜の晩酌でビールを過飲した。翌朝、咽頭痛が激しい。鏡に映してみると赤く明らかに炎症を起こしている。かかりつけ医師のY先生に相談し、荊芥連翹湯+桔梗石膏を処方してもらい、昼食前から2時間毎に各1包服用するも17時頃になっても一向に改善がみられないばかりか心下部に痞えた感覚がある。ここで漢方処方が合ってないと悟り、近くの耳鼻咽喉科を受診、抗生剤を処方される。
指示通り服用し、就寝したが、午前3時頃、呼吸が苦しくなり目覚める。鏡に映して咽喉部を見ると気道を塞ぐように扁桃周囲がひどく腫れている。横になるのが怖くなり、状態を起こしたまま土曜日朝を迎える。そのまま地域の基幹病院耳鼻咽喉科へ直行して受診。典型的な重度の扁桃周囲膿瘍と診断、写真を撮らせてほしいと言われ、即入院、切開してもらえるものと期待していたが抗生剤・ステロイドの点滴状態での入院となる。
激痛のため夕食の流動食も気合を入れながら少しずつ時間をかけて摂取。上体を起こしたまま就寝するが、唾液を呑み込めないためか口中にすぐに溜まり、頻繁に洗面所へ吐出しに行くこととなりほとんど寝られない。翌日曜日の朝に診察があり形状・自覚症状・炎症反応数値全く変化ない。このまま切開されることもなく月曜日まで放置されることに不安以外何も感じられず、ここで再び漢方薬に思考が及んだ。
「我が家の冷蔵庫にある漢方エキス剤の中に排膿散及湯がなかったか……」。携帯メールで妻に確認すると「排膿散及湯がある」と。30分後には病室に持参してくれた。K社の排膿散及湯だった。2包分を口内で溶かし激痛に耐え気合で呑込んだ。服用して10~15分、そこで何かが変わった。唾液を呑込んで確かめたところ痛みが10→2になっている。鏡に映してみると扁桃周囲の腫れが明らかに引いて形状が変わってきている。一体何が起こったのだ。朝食も流動食だが難なく咽を通る。その後、2時間おきに排膿散及湯1包を服用し続け16時頃には咽痛はほぼ0の状態になり扁桃腺・周囲の形状もほぼ正常になり、食事も難なく摂れ、穏やかに就寝できた。
翌月曜日朝の採血で炎症反応は依然高値を示すと主治医は退院に難色を示したが、通院を条件に無事退院することができた。