備忘録
2024.11.20
半月板損傷の保存療法における漢方治療
毎日のトレーニング中(陸上競技短距離・跳躍系)に右膝内部に異様な激痛を自覚し、歩行しづらくなる(あぁやってしまった……やはり年齢には勝てないか)。
1ヵ月程度様子をみていたが、右膝内側の痛みとともに右膝の曲げ伸ばしの時に顕著なキャッチング(引っかかり感)があり、関節の中で炎症を起こしてか水が溜まって腫れている。
そのため完全に屈伸できない(正座できない)。
歩行していると鈍い痛みが次第に強くなってきて辛い。
おそらく半月板を損傷したのだろう。
長年にわたって定着した運動習慣が頓挫するのは良くない。
それだけでなく加齢とともに歩行困難になるのも困るので、まずは状況を明確にするため整形外科領域で実績のあるS病院を受診。
【MRI画像】
半月板の破片を確認、明らかな半月板損傷(内側)。
20代現役アスリートの頃に発覚した膝蓋骨分離症(野球の大谷選手はこれで手術した)の痕跡も確認できた。
加えて右膝の半月板は加齢とともにかなりすり減っている(左膝は問題なし)。
主治医いわく、「この状態だと右膝の前も痛くありませんか?」と。
(しかし前は痛くない)。
「破片は内視鏡手術で除去したらどうかと思いますが、これを全面的に解決するのは……かなり難しいですねぇ」とも。
(MRI画像所見ではかなり重症ということか)
とりあえず破片除去の内視鏡手術を前提にして諸検査を受けたところ、何と貧血が発覚。
そういえばトレーニング時もしばらくの間、息切れしてしんどかった。
色々な事が重なって痔出血が継続していたのかも。
半月板損傷の誘因にもなったのだろう。
引き続き内視鏡等諸検査の結果、鉄欠乏性貧血の原因は継続的な痔出血と断定。
結局、半月板保存療法の方向で考えることにし、自身で治療することにした。
漢方処方は山本巌流漢方にならい病態とそれに合う生薬の薬能を考えて選択した。
膝の腫脹を考えれば麻黄+石膏の越婢加朮湯+防已黄耆湯(or九味檳榔湯)だが、体質的に麻黄が苦手なので麻黄剤は超急性期以外は避ける。
まあ1年がかりの治療計画と考えて、これまで解毒証体質改善を目的に続服してきている漢方処方をベースに貧血に対する補気薬と原南陽の鍼砂湯に倣い鉄、物質補充の四物湯を重視し、処方は一貫堂竜胆瀉肝湯、芎帰調血飲(+通導散or腸癰湯)、清心蓮子飲、クエン酸第一鉄Na錠。漢方薬はすべてエキス剤とし、状況により量を加減した。
トレーニングシューズおよび日常歩行時の靴は、従来愛用している靴底がフラットで3本バーが特長のビモロシューズ(イチロー選手が愛用しているシューズ)。
歩行時の合理的な体重移動や体幹重視の姿勢維持にはこれは必須。
3ヵ月間はウォーキング中心の軽い負荷の運動をほぼ毎日継続。
痛みは次第に軽減。
その後軽めの短いジョグに各種筋トレと徐々にレベルを上げていく。
治療効果は極めて順調、やはり漢方薬はうまく使えば大変よく効く。
6ヵ月後には30mスタートダッシュ、70m全力疾走、坂道ダッシュ等々は問題なくこなせるようにまで回復した。
しかし跳躍系のメニューはしばらく封印。
1年経過した現時点で、軽度負荷の跳躍メニューまではこなせるようになった。
(まぁ年齢的に今以上負荷の高いメニューを加えるのもどうかと思う)。
来年は数年ぶりにマスターズ陸上競技大会65~69歳部門に出場することを目標にしたい。